【2019年夏新作公開!】映画ヒックとドラゴンの原作は違う?あらすじを分かりやすくご紹介します

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『ヒックとドラゴン3』の公開が待ち遠しいですね。

『ヒックとドラゴン3』予告編 (2019年)

同作第1弾はなんとアカデミー賞で2部門もノミネートされたことのある名作です。北米では約2億1700万ドル以上の興行収入を生み出す大ヒットアニメ映画となっています

さて、ご存じの方も多いと思いますが、『ヒックとドラゴン』には原作(11巻+1巻)があります。しかもそれが映画版の話と大きく異なっているのです。(筆者はどちらも好きです)

この記事では、あまり知られていない原作の第一巻『ヒックとドラゴン 伝説の怪物』のあらすじを映画との比較を交えながら、その魅力を存分に伝えていきたいと思います。

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原作『ヒックとドラゴン 伝説の怪物』のあらすじ

ドラゴン入門テスト

遠いむかし、強い風が吹く荒れはてたバーグ島に、長い長い名前の小さな小さなバイキングの少年がいた。その名は、『モジャモジャゾク・キタイノアトツギ・ヒック・ホレンダス・ハドック3世』だ。(通称、ヒック)

その日、ヒックを含むモシャモジャ族の少年たちは【ドラゴン入門テスト】を受けることとなる。

ドラゴン入門テスト3つのステージ 
 1、ワイルドドラゴンの崖に行く
 2、そこで野生のドラゴンの子供を捕まえる
 3、そのドラゴンを手懐け、言うことを聞くようにする

臆病者の主人公ヒック

どこか冴えないフィッシュ

威張り散らかすスノット

スノットの子分のダブレス

少年たちはそれぞれの思いで、恐ろしいドラゴンが多く眠っているワイルドドラゴンの崖へと向かいます。

命綱をしっかりもち、強烈な風を受けながらすすむ幼い少年たち。やっとのことでワイルドドラゴンの眠る洞窟のなかに入ると、ヒックこんな光景を目にしました。

洞窟のなかにぽっかりとあいたその空間には、想像をはるかに超える数のドラゴンが、折り重なっていた。ありとあらゆる色や形のドラゴンだ。強大なコウモリのように天井からぶら下がっているやつもいる。ヒックが知っているドラゴンは全部いたし、見たことない種類もたくさんいた。 『ヒックとドラゴン 伝説の怪物』参照

冬だったこともありドラゴンたちはみんな眠っていました。そんな洞窟のなかでヒック、スノット、ダブレスのそれぞれが強そうな子供のドラゴンをつかまえることができたのですが、とある問題がおきてしまいます。

フィッシュが大きな足音をたて、そしてくしゃみを4回もし、眠っていたドラゴンたちを呼び覚ましてしまったのです。

「に、にににににげろおおおおおぉぉ!」

怒ったドラゴンの群れに追いかけられながらも、少年たちはなんとか逃げ延びました。(結局、フィッシュはドラゴンを捕まえられませんでした)

運命のドラゴン

さて、バイキングには掟がありました。

「ドラゴン入門テストに合格できなかった者は「島流し」にされる」という厳しい掟です。

つまりそれは、ドラゴンが捕まえられなかったフィッシュは「島流し」されてしまうということを意味しています。そのことをよく知っていたヒックは、なんとフィッシュにつかまえたドラゴンをわたしてしまいます。

でもそれだとヒックが「島流し」にあってしまいますよね。以下、本文の抜粋です。

「バイキングなんかに、生まれてこなきゃよかった……」フィッシュはんべそをかいてヒックに言った。「このドラゴン、悪いから君に返すよ。でも、ぬれてて機嫌も悪いから、すごく重いよ。きみがドラゴンをつかまえられなかったことがばれたら、きっとゴバー教官は、雷のように怒るからね」
「ドラゴンなら、つかまえたよ」と、ヒック。
「分かってるよ。これは本当はきみのものだからね。ぼくはこれから村を出て、都会にでも行くとするよ。どっちにしろ入門テストに受かるとも思えないし」
「ちがうよ。ぼくのバスケットにも、ちゃんと一匹入っているんだよ」と、ヒック。『ヒックとドラゴン 伝説の怪物』参照 /一部中略

実は、ヒック、ドラゴンを2匹つかまえていました。ワイルドドラゴンの崖の洞窟で怒ったドラゴンが逃げている途中、暗闇のなかでつかまえたようです。

これは何かの運命だと感じた2人は「もしやこのバスケットに入っているドラゴンはモンスタードラゴンではないか」と考えます。

期待に胸をふくらませ、

バスケットのなかを見ると、

そこには、驚くほど小さなヘイボンドラゴンがいました。

ドラゴンの種類 
 ・ヘイボンドラゴン
  よく知られる種。狩りは得意ではないが育てやすい。
 ・ベーシックドラゴン
  ヘイボンドラゴンとよく似ており、同じと考えてよい。
 ・グロンクル
  ドラゴンの中でも、とくにブサイクな種。
  見かけは悪いが、ケンカは強い。少しとろくて、おつむが弱い。
 ・モンスタードラゴン
  一番大きく、もっとも凶暴なドラゴン。
  空を飛ぶ姿は美しく、狩りの腕も見ごと。
  カシラの息子だけが持つことができる。
 シードラゴン
  太古のドラゴン。
  巨大でその姿を見たものはいない。
映画版でつかまえたヒックのドラゴンの種類は、ナイト(夜の)・フューリー(怒り)という種族で色も大きさも全く違います。原作ではイタズラっ子で少し抜けたドラゴンですが映画版は好戦的で大きいドラゴンです。

トゥースレス(toothless)

名前はトゥースレス(英語で「歯なし」という意味)で決まりだ!」スノットがさけんだ。「ドラゴンがくさるほどいるこの島で、わざわざ歯のないドラゴンをつかまえてくるなんて、話ができすぎている。間抜けのヒックにハヌケのドラゴン!『ヒックとドラゴン 伝説の怪物』参照

ひと際小さく、そして歯のなかったヒックのドラゴンは「トゥースレス」とバカにされた名前をつけられます。

それに怒ったフィッシュは、

「ヒックがモンスタードラゴンをかけて、きみとたたかう」

と勢いでスノットに言ってしまいます。

もちろん受けて立つスノット。そして、臆病者と思われたくないヒック。

ヒックはスノットと勝負するためにトゥースレスを育てることを決意します。

ちなみにスノットはモンスタードラゴン(名前はファイヤークイーン)をつかまえていました。モンスタードラゴンはバイキングの掟で、カシラの息子だけが持つことができます。しかし、スノットはカシラの息子ではなく、カシラの弟の息子でした。そして、ヒックがカシラの息子でした。

スノットが掟を破り、ヒックを目の敵にしているのは、ヒックの父がカシラで自分の父がカシラの弟という理由もあったのです。(2人は従兄弟同士)

ドラゴンの育て方

ヒックはドラゴン入門テストに合格するため、そしてスノットに勝つためにトゥースレスを育てなければいけません。

村には、「ドラゴンの育て方という本があり、それを見てみます。

ドラゴンに自分の言うことを聞かせるための方法として、

そこに書いてあったのは……

「どなること!」

ただその一言だけでした。

1、どなる作戦

 ヒックはとにかくやってみることにしました。しかし、ヒックは気弱な少年。

 どなる迫力がなくてトゥースレスはまったく言うことを聞いてくれませんでした。

2、優しくする作戦

 次に、ヒックはトゥースレスをふかふかのベッドに寝かせたり、魚のくんせいうやイセエビを欲しがるだけ与えてみたり、何時間も遊んであげたりしました。

 でもこれも効果がなかったようです。

 トゥースレスは調子に乗るだけでした。

3、エサでつる作戦

4、おだてる作戦

5、仕返しさせる作戦

どれを試してもトゥースレスは言うことを聞きませんでした。

ヒックは最後に、

6、ダジャレをご褒美にする作戦

 を試してみることにしました。

「トゥースレス、大きくてりっぱなサバをつかまえてきてくれたら、きみはバーク島で一番かしこくて、一番運動神経がいいドラゴンだってことになるよ。ファイヤークイーンの鼻を明かしてやろうよ。おうちに帰ったら好きなだけイセエビをあげよう。それに、とびっきりのダジャレを教えてあげる」ヒックは、いってみた。
トゥースレスがぱっと振り向いた。
「トゥースレス、ダジャレ大好き。いいよ、いうこと聞いてあげる。でも、いい子だなんて思わないでね!」『ヒックとドラゴン 伝説の怪物』参照

なんとうまくいったみたいです。(笑)

あとは、<トール神祭り>で入門テストを合格さえすれば、ヒックは島流しにされず、バイキングの一員として認められることになります。

トール神祭りの波乱

ドラゴン入門テストの最終試験の日がやってきました。

ここで少年たちはドラゴンに言うことを聞かせ、それから魚をとっていかせることができたら合格となり、バイキングの一員と認められます。

しかしもしそれが失敗に終わると、バイキングの掟で「島流し」にあってしまいます。ヒックたちの住む島の周りには人食いの怪物やらなんやらがいるという噂があり、なんとしても合格したいものです。

パッパラパー!
いよいよ最終テストの始まりだ。『ヒックとドラゴン 伝説の怪物』参照

なんと、ここでトゥースレスが大きな騒ぎを起こしてしまいます。

トゥースレスの何倍も魚をとり、勝ちほこった顔をしていたファイヤークイーンに腹をたてたトゥースレスが、他のドラゴンも巻き込んで大乱闘を起こしてしまうのです。

もう最終テストどころの話ではありません。

結果は全員不合格。

全員、島流しです。

村の人々は一族の掟を守るため、ヒックたち「島流し」する事に決めました。

怪物ドラゴン

トール神祭りが終わると、嵐が訪れました。

嵐は一晩中つづき、まるで大勢のドラゴンが外で暴れているかのような風に島は襲われます。

そして、その嵐が二匹の巨大なドラゴンを太古の眠りから覚ましてしまいました。

これほど巨大なシードラゴンが現れるとは、まるで悪夢だ。
ティラノサウルスの二〇倍の大きさなんて、想像を絶するだろう。生き物というよりは、ぶきみに輝く巨大な山のようだ。宝石のよろいをきているかのように、体中がフジツボでおおわれている。小さなカニうやサンゴでさえ、はりつくことのできない間接のくぼみは、ドラゴン本来の皮膚があらわになつていた。海のように深く美しい緑色だ。『ヒックとドラゴン 伝説の怪物』参照

一匹は海岸に、そしてもう一匹は反対側の峠のほうに現れ、その巨大さゆえ大人たちはどうすることもできません。

そこでヒックを中心に、島流しされるはずだった子供たちはそのシードラゴンを対峙することに決めました。

ヒックのクシャミ大作戦 1、羽根爆弾をつくる
 2、二匹のドラゴンを戦わせる 

とってもシンプルですよね(笑)

もっと詳しく説明すると、羽根爆弾とは衣服のなかにカモメの羽根をつめて丸めたものです。それをシードラゴンの呼吸に合わせて一斉に鼻のところに落とします。→クシャミを起こす

それでイラだったシードラゴンを誘導して、二匹をはちあわせ戦わせるという作戦です。

これがうまくいき、峠のシードラゴンを倒すことに成功します。

しかし、海岸のシードラゴンは大きな傷をおいながらもヒックを丸のみしてしまいます。

その食べられたヒックを助けにいったのはなんとトゥースレスでした。

トゥースレスがやったことは、自分のことだけを考えていたら、絶対にできないことだった。
仲間のドラゴンたちは一匹残らずインナー海へ向かってにげ去っていった。ワイルドドラゴンの崖にいた野生のドラゴンたちも、とっくに姿を消していた。
しかし、仲間たちを追いかけようとするトゥースレスを、何かが引きとめたのだ。それは「うおおぉぉぉぉ!!」というストイックの悲痛な叫び声だったのかもしれない。あるいは、トゥースレスの心に、いつしかヒックに対する情がわいていたのかもしれない。ヒックと一緒に過ごした長い時間。ダジャレをたくさん教えてくれ、大きなエビをくれた、やさしいヒック。
「ドラゴンは、わがままなんだぞ。思いやりなんてないし、人のこと、考えたりしない。だから生き残ってこられたんだ」トゥースレスは、自分に言い聞かせた。
しかし、何かがトゥーレスを引きとめ、何かがトゥースレスを崖に横たわるシードラゴンへと向かわせた。しつこいようだが、これは自分のことだけを考えていたら、絶対にできないことだ。『ヒックとドラゴン 伝説の怪物』参照 /一部中略

ドラゴンの教育の基本は、怒鳴ることです。今までのバイキングはみんなはそうやってドラゴンをしたがえてきました。

しかし、怒鳴ることが苦手だったヒックは他のいろいろな方法をためし、とにかくトゥースレスを理不尽に怒ることはありませんでした。

ヒックとトゥースレス。そこには人間とドラゴンの主従関係はなく、友情のようなものが芽生えていたのだと思います。

ヒックを助けにむかったトゥースレスはシードラゴンの大きな鼻の穴に入り込み、上へ下へと飛びまわり、つばさで穴のなかをくすぐります。

「ハックショーーーーーーーーン!」

大きなくしゃみとともに、ヒックとトゥースレスは外に放り出され、シードラゴンはヒックが口のなかにいたときに詰めた兜のせいで死んでしまいまいました。(詳しくは、小説で!)

嵐によって運ばれてきた太古のシードラゴンは死に、島には平和が戻りました。

この後、ヒックを含む少年たちの島流しはもちろん中止になります。

そしてヒックは、バイキングのヒーローとなったのです。

映画との比較とまとめ

まず設定が違います。

映画は「人間とドラゴンが対立関係」にありますが、小説は「人間とドラゴンが主従関係」です。

ということはお話ももちろん変わってきます。

そしてトゥースレスがまったくもって違います(笑)

小説版では大きさは腕に乗るくらいのサイズで子供っぽいヘイボンドラゴンなのですが、映画版では大きさは騎乗サイズで人間に恐れられているナイトフューリーという種のドラゴンです。

ただ共通点もあり、筆者が面白いと感じたのは、

小説版ではシードラゴンは二匹でてきますが、その名前は「グリーンデス」と「パープルデス」です。このグリーンデス、映画版にも登場しますよね。恐らくですが彼だけが原作と設定もなにも変えずでてくる登場人物なのではないでしょうか。

敵役だけがそのままの設定ででてくるというのは個人的に好きな感覚です。

『ヒックとドラゴン3』が公開される前に映画のレビューもできたらなあと思います。

映画ファンのみなさんは小説版をぜひお読みください。

小説ファンのみなさんはぜひ映画をご覧ください。

どちらもとても面白いので両方楽しむことをおすすめします。

では、最後までお読みいただきありがとうございました!

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