別の記事では、ASMRに使用できる基本的な機材をご紹介させていただきました。
さて、ASMRistとしての駆け出しの方にとって共通の悩みであろう「ホワイトノイズ」。筆者も初めてDR-40で録音したとき「サッーーー…」という音が聞こえて、困ったことがあります。
そこで、今回はちょっと踏み込んで、ASMRやバイノーラルの音声作品の編集方法を教えたいと思います!
Audacityを利用すればホワイトノイズは一発削除
使用するソフトはAudacityです。Audacityというのは、セミプロ~アマチュアまで使用されているマルチトラック対応の無料編集ソフトです。
- 音声のカット、編集したり、
- ピッチ調整をし、複数音声をミックスさせたり、
- いらないホワイトノイズを削ったり、
様々なことができます。
ちなみに…、ASMRを紹介しているブロガーさんは音響に疎い方が多く、また多くの人がそれを見て参考にしていると思います。かといって、音響に詳しい方は「ASMRなんてパチもんは興味ねえ」という人が多いので、有用な情報が出にくいのが現状です。
Audacityの導入方法
まずは、Audacityの導入をします。
以下のサイトから、Audacity を無料でダウンロードしてください。2つ用意しましたが、WindowsとMacに互換性のあるソフトなので、どちらをダウンロードしても大丈夫です。
ダウンロード、インストール方法をご存じの方は、Audacityでホワイトノイズを消すまで飛ばしてください。
1、ダウンロードする
ダウンロードページに入ったら、右上のダウンロードを選択します。
OSの場所がWindowsXPとなっていますが、「!」を押せばWindows10まで対応していることがわかります。
もし広告が出てきた場合、「結構です、Audacityのダウンロードを続行しますか」を選択してください。
※「今すぐダウンロード」は選択しないでください。
もう一度、ダウンロードボタンが表示されるので選択してください。するとすぐにダウンロードが始まります。
2、インストールする
ダウンロードが終わったら、次はインストールしましょう。
ダウンロードが終われば画面左下にリストが出現するので「開く」を選択してください。

ファイルフォルダ>PC>ダウンロード
もし左下に表示されなければ、ファイルフォルダから【PC】>【ダウンロード】の場所を探してみてください。
次に「このアプリがデバイスに変更を加えることを許可しますか?」などの窓が表示されます。画像の通りの順で選択していきましょう。
これらは、PCにアプリ(ソフト)組み込むかどうかの最終確認の行程です。
最後にインストールするフォルダの選択です。変更する必要ないのでそのままにして、「次へ」を選択しましょう。
Audacityでホワイトノイズを消す
ここからは、前回の記事の続きとなります。
前回はDR-07X(筆者の場合は40ですが…)の音声ファイルをパソコン内に取り込むところまでを書きました。
前回を読む【実は簡単!】ASMRを録音したい初心者にオススメの機材をご紹介します

ということで、前回の「DR-07Xで音声を録音し、パソコンに音声データを取り込んだところ」から、
- Audacityで音声データを取り込む
- ノイズのプロファイリングをする
- ノイズを削除する
- ノイズキャンセリングした音声データをWAVで書きだす
の順で説明していきますね。
Audacityの音声データを取り込む
まずはデスクトップやスタートメニューからAudacityをダブルクリック。起動させます。
前の記事で「DR-07X(40)からコピーした音声データ」、または、皆さんがそれぞれ保存しているデータをドラッグ&ドロップしましょう。
Audacity画面の左上【ファイル】から音声データを展開する方法もあります。
音声ファイルが波形状態で表示されましたね。
ちなみに上下で波形が違うのはバイノーラルマイクの特徴となっています。通常のマイクでは、モノラルで表示されるか、同じ波形が2つ並びます。ここでもバイノーラル状態で録音されているかどうかを視覚で確かめることができます。
上がL(左)から聞こえて、下がR(右)から聞こえてきます。編集でバイノーラル音声を聞いていると、この面白い仕様で思ず頬が緩んでしまいます。
ホワイトノイズをサンプリング後、削除
AudacityはdB(デシベル)やHz(ヘルツ)の一定値をカットする単純なノイズキャンセリングではなく、ノイズそのものをサンプリングし、カットする高性能なノイズカットができます。
つまり、ホワイトノイズのサンプルが必要です。サンプリングするために、録音段階で冒頭に7秒以上無言(ホワイトノイズのみを録音するため)の時間を録っておきましょう。
それを踏まえた上で、次から順番に説明してきますね。
ノイズをプロファイルする
①拡大ツール(虫眼鏡)で拡大する
音声データをドロップした段階では、秒単位で細かく見ることができません。なので、拡大ツールを選択後、左クリックで秒単位でデータを見られるようにしてください。
②選択ツールで無音部分を選択する
棒のようなマイクを選択したのち、左クリックを長押しで一定期間の音声を選択することができるようになります。
③ホワイトノイズ部分を選択する
冒頭に録音したホワイトノイズのみの部分を選択してください。筆者は7秒間が理想だと思います。短すぎてもサンプリング精度が落ちますし、長すぎても音が必要以上に削れてしまいます。
次に、【エフェクト】>【ノイズ除去】を選択してください。
【ノイズプロファイルを取得】を選択してください。こうすることで、選択した音声を「ノイズ」としてプロファイルします。
ノイズを除去する
①拡大ツール(虫眼鏡)で縮小する
先ほどは拡大をしましたが、今回は縮小(右クリック)です。すべての音声データが見えるくらいまで縮小してください。
②選択ツールで全範囲を選択する
棒のようなマイクを選択したのち、左クリックを長押しで一定期間の音声を選択することができるようになります。
③全範囲を選択する
【ノイズ除去】の範囲選択なので、全範囲を選択してください。
そしてもう一度、【エフェクト】>【ノイズ除去】を選択します。
数値を設定後、【OK】を選択します。(ここで【ノイズプロファイルを取得】は押しちゃダメ、絶対。)
それぞれの値を簡単に説明すると、以下になります
ホワイトノイズを消したい場合は、ノイズ除去数値の設定だけでOKです。
皆さんがもとの個体(リニレコーダーやオーディオインターフェース時)でどのくらいの音量で設定しているかにもよりますが、筆者の場合、ノイズ除去数値は「7」が黄金比でした。
さて、OKを押すと…
このようにノイズ除去が始まります。
音声データの量質、プロファイリングする音、長さ、除去数値の設定などを綺麗に整えると、驚くほどクリアで生々しいASMR音声に近づくと思います。ぜひみなさん自身の黄金比を探してみてください。
Audacityから音声を書きだす
最後にノイズを除去した音声を保存しましょう。
Audacityの【ファイル】>【書き出し(Export)】を選択してください。
このようにファイルの書き出し画面がでます。保存したい場所までいき、
①元のファイル名に「-ノイズ除去」と付け足す
②ファイルの種類はWAVに
それぞれ設定して保存してください。
上記のような画面がでてきますが、なにもせず【OK】で大丈夫です。
これで、音声データのノイズ除去が完了しました!ノイズ除去をする前と後で比べてみて、細かい設定などをしてみてくださいね。
はとむぎさんのクリアなASMR音声はこうして作られた
上記動画は1,000万回再生を誇るモンスター動画です。
筆者も同機種を持っていたので、同じようにしてみようと思いやってみたのですが、「ホワイトノイズがひどすぎる!何が違うんだ!?」となってしまったことがあります。
しかし、Audacityでのノイズ削除をこなするとクリアで透き通ったように聞こえ、極限まではとむぎさんの音声に近づけることができました。
今現在、多くの方がAMRistに夢を見てあまりクオリティの高くない動画が散見されます。
そういった方々は、「とにかくDR-05とローランドがいい!!」「3Dio!!」と音響に関してあまり知識のない方の紹介サイトや動画で機材を選ぶのではなく、より音の構造を理解し、機材のスペックを吟味し、回路を考え、本質を捉えることが必要だと思います。
音響の世界はまさに沼です。ぜひASMRからこちらの世界を覗いてみてはどうでしょうか。(謎の誘い)
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